光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「あたしには真藤君がクールとは思えないけどな…。その良さとかも分かんないから、あの人がモテる意味が全然分かんないもん。…まぁ、佐藤君がモテる理由はまだ分からなくもないけど」
「……えっ?」
最近となっては身近な存在となってきた伸一の名前が出てきたことで、思わず明日美の言葉に反応を示す。
「あっ、明日美。佐奈が不安がってるじゃん」
「だ、大丈夫だよ流歌。……佐藤君がモテるのは、ずっと前から知ってるから」
伸一がモテるのは、ずっと前からのことだった。
だから今さら改めて聞いたところで、へこたれなんかしない。
そんなことよりもずっと、彼女がいるっていうことの方がつらいもん…。
「…あっ、そろそろお昼休み終わっちゃうよ。早くお弁当食べちゃおうよ?」
「そうだね。佐奈も早く食べよう?」
「……うん」
お箸を急いで動かしながら話題を変える二人には、きっとあたしが強がっているように見えたのだろう。
…平気だけど、平気じゃない。
そんな曖昧で敏感な心には、二人の優しさがとても温かく感じられた。