光を背負う、僕ら。―第2楽章―
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「え?夢が決まった…?」
「そう!俺、ついに決めたんだ!」
毎日同じように訪れる、いつもの放課後の時間。
今日ここに現れた伸一はやけに笑顔が絶えないと思っていたら、そんな伸一の嬉しい一言でこの時間は始まった。
『夢が決まった』と言う伸一は笑顔で話し始めて、あたしは準備をする手を止めて彼に向き合う。
「兄貴と比べられると思うとなかなか言い出せなかったけど……。実は俺、小さい頃からサッカー選手になりたいって思ってたんだ。
プロになるなんて無理だって諦めたりもしてたけど、色々考えて俺は決めた。
この夢を……憧れでは終わらせない!」
つい先日、項垂れながら悩みを打ち明けてくれた伸一とは全然違って見えた。
人は夢を抱くだけで、こんなにも強く輝かしい瞳で笑えるんだ……。
人の幸せそうな笑顔は他人にも伝染するらしく、あたしの頬も伸一の幸福に反応して綻んでいく。