光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「“プロの選手なんて簡単になれるわけがない”って、親には言われた。“考えが甘い”って。
自分たちが俺に“好きに選べ”って言ったくせに……勝手だよな。
だから反抗して、この夢を諦めないって言ったんだ。もし将来俺が望んだようになれなくても、少しでもサッカーに関わっていたいって思ったから」
伸一と家族のやりとりが自分のときと重なって胸が痛んだ。
でも伸一が俯いていないから、あたしも話を必死に受け止める。
「兄貴と比べられるのは嫌だし同じ道にも進みたくないって言ったらさ、案外親はあっさりと本音を言ったんだ。
“今まで何も言わずにいたけど、本当は比べてたし同じように生きてほしかった”って。それが一番いい道だと思い込んでたらしい」
「………」
「…でもな、“夢があるならその道に進め”ってことも言われた。俺の夢には反対してるくせに、本当に勝手だよな」
そう言い終えて、伸一は笑った。
悲しい笑みなんかじゃなくて、心からの喜びの笑み。
…あぁ、そうか。
伸一はちゃんと分かってるんだね。
夢を反対しているのに背中を押してくれる親の本当の気持ちを。