光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「…多分。親は心からは夢のことを認めてない。でも、ちょっとだけ前よりは進んだ気がする。
だから俺、これから進路のこととか頑張ってみるよ。麻木が頑張ってるみたいに」
「あたし、みたいに?」
「そう。麻木が親に夢を認めてもらえるようにこうやって練習したり説得したりしてるみたいに、俺ももっとサッカーが上手くなるように頑張るんだ。高校も、どこに行くか決めたことだしな」
「高校…どこに決めたの?」
平然に尋ねるつもりだったのに、なぜか声が震えた。
「西澤高校にしようと思ってる。あそこ進学校だけど、サッカーは強豪だから。その分勉強と部活の両立はきついだろうけど、それぐらいでへこたれてたらいけねぇしな!」
「そ、そうだよね」
早くも高校への意気込み語る伸一はそれに夢中で、あたしが泣きそうな顔をしていることになんて気付かない。
むしろ、気付かれたら困るけど。
…そうだ。
それぞれが自分の夢に向かって進路を決めるってことは、みんな離れ離れになっちゃうってことなんだ。
そんな当たり前のことに今さらになって気付いて、胸が張り裂けそうなぐらい痛くなった。