光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「いつも応援ありがと。
麻木もきっと、合格するよ。
これからも、夢を叶えられるように一緒に頑張ろうな!」
顔の高さぐらいに差し出された握り拳。
それに自分の握り拳をコツンとぶつけたら、またどうしてか悲しくて。
泣きそうになるのを押し込んで、無理矢理笑ってみせた。
……変なの。
この時間にいつか終わりがきて、伸一とは別の学校で過ごす日が来ると思うと、どうしようもなく伸一への気持ちが募っていく。
今はまだこうやって少しでも話をする機会があって、遠くからでも見つめていられるだけで幸せだけど。
……それも、出来ない日が来るなんて。
あたしは本当に、それでいいの?
自分の気持ちを伝えることもなく離れ離れになって……。
あとであたしは、後悔しないの?
「――……」
そこまで考えてふと、我に返った。
……って、あたしったら何を考えてるんだろう。
きっと図書室で人の告白なんか見ちゃったから、告白することに対して敏感になってるんだ。
あたしは気持ちを伝えることはしないって、告白はしないって。
そう固く、決心したはずなのに……。