光を背負う、僕ら。―第2楽章―
そして腕を掴む手に力を込められたと感じた瞬間、無理矢理腕を引かれて真藤君と向き合う体勢にされてしまう。
おかげで唇を噛み締めて泣くことを我慢している顔が、呆気なく彼の前に晒されてしまうことになった。
「…ほら。やっぱり泣きそうな顔してるじゃん」
「…~っ!」
「下手くそな笑顔なんて捨てて、さっさと泣けばいいのに」
「はっ、離してよ!!」
グッと腕に力を入れて真藤君の手を振り払おうとするのに、何度やっても腕を離そうとはしてくれない。
真藤君、見た目は細いのに…。
大きな手からみなぎる力はしっかりと男の子で、敵いそうにないと分かったあたしは抵抗をやめた。
「……どうして、こんな意地悪するの?」
「意地悪とは失礼だな。麻木が困ってたから助けてやったっていうのに」
「助けた…?」
何のことだか意味が分からずに首を傾げると、ずっと掴まれていた腕がさっきまでとは違う優しい力でゆっくりと離された。
「…困ってたんだろ?あいつにフラれて泣きそうになってんのに、どうしたらいいか分からなくなってたんじゃねぇの?」
「……えっ!?」
ニヤッとからかうような笑みを向けられて、ついさっき確認出来なかった不敵な笑みは確かにあのとき向けられていたんだと察した。