光を背負う、僕ら。―第2楽章―
傷痕に落ちる涙
――~♪~♪♪…
涙に明け暮れた翌日。
あたしは同じ時間に同じ場所で、いつものようにピアノの練習をしていた。
だけどいつもと違うのは、あたしのピアノを楽しそうに聞いてくれる伸一の姿がこの部屋にないこと。
今の時刻は下校時刻の約1時間前。
いつもなら伸一は、あたしがちょうど練習を始める頃にこの部屋に来ていた。
だけど今日はその時間になっても、今の時間になっても、その姿が現れることはなかった。
「……来るわけないか。昨日あんなことがあったばかりだし」
ため息をつくと、自然と手が止まった。
伸一がいない寂しさを紛らわすためにいつもと同じように演奏を始めてみたけれど、それも結局は何の意味も持たない。
ピアノを弾いても、弾かなくても。
この空間に伸一がいない事実は変わらないし、胸を締め付ける寂しさも拭えなかった。
「……はぁ」
「陰気くさいため息だな」
「えっ」
心臓がドクンと音を立てて、背後からかけられた声に勢いよく振り向いた。