光を背負う、僕ら。―第2楽章―
昨日あれからあたしは、下校時刻のギリギリまで泣いていた。
どうやら自分が思っていたよりもたくさん、限界に至るまで涙を堪えていたらしい。
――――……
「…ひっく…。……真藤君、ありがとう。もう、大丈夫そう」
思う存分泣いて、身体中の水分が尽きてしまったんじゃないかと思える頃には、取り乱していた心もずいぶん落ち着いていた。
今はただ男の子に抱き締められている状態が恥ずかしくて、とりあえず密着した体を離そうと試みる。
「……そうか。ならいい」
胸板を軽く押すと、今度はあっさりと解放された。
体を包み込んでいた真藤君の香りが最後にすっと鼻を通って離れていく。
心の内が読み取れない真藤君とは違ってどこか懐かしく感じられて、安心させてくれる香りだった。
「……ありがとう。黙って付き添ってくれて」
その香りの効果のせいか心はさらに落ち着いて、お礼の言葉もすらすらと素直に出てくる。
「……どーいたしまして」
そっぽを向きながらお礼を言われたけれど、声は嫌がっていないから安心する。
泣いていたために無理矢理付き添わせてしまったんじゃないかと、少し不安だったから。