光を背負う、僕ら。―第2楽章―



真藤君は部屋をくるりと見回して、まじまじと観察した。




「落ち着いたみたいだから聞くけどさ。……麻木と伸一は、本当はここで何してたわけ?」


「…えっ?」




目尻に残っていた涙を掬う指の動きが止まる。



次に言われることが嫌でも予想出来てしまい、目を合わせることが出来ない。




「ノートを届けてもらった……なんて、嘘なんだろ?」


「……やっぱり、バレてたんだ」


「当たり前だろ。麻木も伸一も、嘘つくの下手すぎだし」




ちらりと様子を窺い見ると、真藤君は得意気な様子で楽しそうに口角を上げていた。




「……で?本題である、二人がここにいた理由は何?」




ニヤリとした笑みを浮かべたまま、迫るように質問される。



その迫力に怖じ気づいて、思わず本当のことを打ち明けそうになるけれど……。




「……ごめんなさい。それは言いたくないの」




……言えないよ。


伸一が秘密を守ろうとしてくれたのに、自らそれを破るなんてこと。



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