光を背負う、僕ら。―第2楽章―
居心地悪くて俯いた頭に、あのミステリアスな視線が注がれる。
「……ふーん。あっ、そう。
じゃあ、誰かに言ってもいいんだ?麻木が……伸一を好きだってこと」
「ちょ、ちょっと!それとこれとは関係ないでしょ!?」
「へぇ~。自分は嫌がるんだ?
他人の告白のことは友達に言いふらすくせに」
「……っ!なんで、そのこと…」
頭に浮かんだのは、もちろんマリナちゃんの告白シーンを明日美と流歌に話したときのこと。
あのとき、真藤君の姿はないと思ってたのに…。
人の告白を見ちゃうなんてこと、わざとではないとしても見なければよかった。
もちろん、それを友達に話すなんてことも……。
「………」
「それで、どうすんの?話す気になった?」
黙り込んだあたしを急かすように、真藤君はさらに問いかけを続けてくる。
弱みにつけこんで無理矢理聞き出そうとするなんて…。
「……サイテー」
「ん?何か言った?」
「何も言ってないです…!」
みんな真藤君のことをクールだとか何とかって言ってるけれど、本当はそんなの全然違う。
この人は仮面をかぶってクールなフリをしているだけ。
こんな意地悪なことする人、ただの悪魔みたいな性悪男だよ…!
あたしには彼の頭と背中に、真っ黒なツノと羽が見えて仕方がなかった。