光を背負う、僕ら。―第2楽章―
面談室は、机と椅子がいくつかあるだけのいたってシンプルな部屋だった。
先生は部屋の中央に向かうように設置された机の椅子に座り、あたしはその反対側に向かい合って座る。
その間はずっと、緊張が高まっていくばかり。
自ら切り出そうとしているにも関わらず、早くもやめてしまいたい衝動にかられていた。
……だけど、変わりたいから。
まずは、精一杯ピアノの練習がしたいって思ったの。
「……で、どうしたの?」
先生が口を開くのをきっかけに、あたしは単刀直入に話を持ちかける。
「――…先生、学校のピアノを貸してください」
そう言うとともに、机に額がつきそうな勢いで頭を下げた。
膝の上に置いた手が、机の下に隠れて震えている。
「……それは、どうしてなの?
笹川さんの家……佐奈ちゃんの家にも、ピアノはあるんじゃないの?」
先生が不思議そうに聞くのもおかしくない。
だってピアニストの家なら、ピアノの一台ぐらいあるって思うようなものだから。
だけど、あたしの場合は違う。
未だに反対されている状態で、家では思うように弾けない。