光を背負う、僕ら。―第2楽章―
頭を必死に動かしているせいで何も言えずにいると、真藤君が渋々といった口調で話してくれた。
「小学生の頃に麻木の気持ちに気付いたけど、見てるとおまえは自分の気持ちを犠牲にしてばかりだった。
伸一と真奈が付き合い出したときだって……黙って我慢してたし」
「…あぁ、そういうこともあったね」
苦い思い出が胸を掠める。
今よりもさらに幼い小学生のとき。
同じ班のメンバーとしても一緒になったことがある伸一と真奈が付き合い始めた。
よく考えるとあれが、あたしの最初の失恋だった。
「……あれは我慢っていうか、どうすることも出来なかった問題だよ」
「でもおまえ、そうやっていつも指をくわえて見てるだけじゃん。なんでつらい目にあっても、そこまで平気な顔して強がれるんだよ……」
真藤君の表情に表れる感情は、まるであたしの気持ちを代弁してくれているみたいだった。
悲しそうに瞼を伏せて。
悔しそうに眉を下げて。
つらそうに眉間にシワを寄せて。
……強がって涙だけは流さない。
まるであたしを映す鏡だった。
だから思わず、本音が漏れる。