光を背負う、僕ら。―第2楽章―



「……真藤君の言うとおりだよ。確かに強がってるし、我慢もしてる」


「……」


「…でもね、それを平気な気持ちでしてるわけじゃない。
全然平気じゃないときだってあるよ」


「じゃあ、なんで…」


「真藤君も……好きな人がいるなら分かるでしょう?」




真藤君の表情が固まる。


もうそれはあたしを映す鏡ではなく、真藤君の本心だった。




「佐藤君のことが好きだから……我慢出来るんだよ。
簡単に諦められるような安っぽい気持ちで好きになったわけじゃないから、どんなに苦しいことやつらいことがあっても強がれるの。
多少の苦労で挫折するぐらいなら、とっくにこの恋を諦めてたよ」




メモ用紙を胸の前で抱えたまま目を閉じると、伸一の笑顔が浮かんだ。



この笑顔があたしの中で輝いている限り、きっとこの恋は諦められない。



……だから、恋って厄介なんだ。



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