光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「…わりぃ。いきなりこんなこと言って」
「えっ…」
「麻木のことを困らせたいわけじゃないんだ。……今のおまえ、すげぇ泣きそうな顔してる」
「…っ!」
「その顔は伸一じゃなくて、俺のせいなんだろ?」
今にも泣きそうな顔でそう言われて、少しでも泣きたくなってしまった自分が情けない。
それに気付かせてしまったことが申し訳なかった。
何て言おうか迷っていると、ポンと頭に手を乗せられた。
「真藤君…?」
「……返事さ、今は要らない。どうせ返ってくる言葉は分かってるし」
「……」
「…だけど、麻木の気持ちが落ち着いたら聞かせてくれ。
あいつと俺。両方に対して平等に答えを出せるようになったら」
「…うん。分かった」
真藤君の声が震えているように聞こえて。
頷いてそう言うことしか出来なかった。
……でもあたし、まだ言えてない。
「……とう」
「ん?」
「…ありがとう。あたしのこと好きになってくれて」
真藤君があたしにくれた温かい気持ち。
今はこれを受け取る場所がないけれど、ちゃんと手の中に収めたよ。
捨てることなど出来ない大切なものだから……。
真藤君はつらそうにしながらも笑ってくれて、あたしも申し訳なく笑顔を返す。
……一歩前に進むときが、来ている気配がした。
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