光を背負う、僕ら。―第2楽章―
誰かに告白されることなんて初めてだから、誰かに好かれる感覚がよく分からなかった。
告白するのだって初めて経験したばかりなのに、告白までされるという初めてづくしばかり…。
頭が混乱しすぎて、どうにかなりそうだった。
「…それで、佐奈は真藤君にどう返事するの?」
さっきまでの楽しんでいた空気をガラリと変えて、流歌がぐいっと顔を近付けてきた。
混乱しているところにさらに悩みの種を植え付けられて、言葉に困ってしまった。
「……分からない」
「分からないって…」
「真藤君のことは、嫌いじゃないよ。でも恋愛としてはどうかというと……分からない」
役目を果たさないシャープペンを、三人で囲む小さな折りたたみ式のテーブルに置く。
投げやりに放つとコロコロと転がる姿が、まるであたしの気持ちみたいだ。
どうしていいのかも分からずに、どっちつかずで決断を出せない。
「…じゃあ、付き合ってみたら?付き合ってみたら、意外と良いかもしれないし」
「そうだよ。恋愛の傷は新しい恋愛で癒せるかもよ?」
「自分の気持ちがはっきりしてないのに、それは出来ないよ…。告白してくれた真藤君にも悪いし」
二人の助言は嬉しかったけれど、それは首を振って断る。
あのときの真藤君の表情が浮かぶと、どうしてもそれに同意は出来なかった。