光を背負う、僕ら。―第2楽章―
体を支える足も、体の前で揃えた手も、これ以上ないと言えるぐらいに震えている。
限界であろうそれを保っているのは、本当にただ“ピアノが弾きたい”という純粋な気持ちだった。
本当は、お母さんを説得すればいいってことも。
反対さえ振り切って、家で弾けばいいってことも。
全部……ぜんぶ、分かってる。
あたしの家の事情を知っている先生へのただの甘えだって、ちゃんと受け止めてる。
でも、それだと間に合わないかもしれない。
説得ばかりして、やっと認めてもらえたとしても、もうそのときはタイムリミットだってことも有り得るかもしれない。
だから…だから…。
「お母さんに、全てを認めてもらえるまででいいんです。
それまでの間でいいから、あたしに練習をさせてください!!」
――お願いします。
あたしに、自分で解決する時間をください。
あたしは一度戻した頭を、もう一度懇願するために深く下げた。
先生は何も言わずに、あたしの姿をしっかりと見ていた。