光を背負う、僕ら。―第2楽章―



「……先生…」



張り詰めていた気持ちが一気に緩み、瞬きをすれば涙が静かに流れた。



…あぁ。

あたしは恵まれているなと思った。



相談出来る友達がいて、力を貸してくれる先生がいる。



もしかしたらそれは他人から見ると、当たり前に感じているかもしれない。



でもあたしにとっては、当たり前のことがとても大きな後押しになる。



本当に……。



「……ありがとうございますっ…」



頬を伝う滴を手のひらで拭い、もう一度先生に向かって深々と頭を下げた。



きっと、これだけじゃ感謝の気持ちは伝わらないかもしれない。



でもいつか、今は伝えきれない気持ちも、必ず形にして返したい。



あたしが、成長することによって……。




その誓いを胸に、あたしは前を見据えていた。


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