光を背負う、僕ら。―第2楽章―



「……おい、なんで麻木が泣くんだよ」


「…ひっくっ。だって……真藤君が、優しすぎるから…」




止まらない涙の向こうで、困ったように笑う顔が見えた。



ときどき表情が苦しそうに歪んでいるのは、きっと見間違いなんかじゃない。




……真藤君は一体、どんな気持ちであたしの傍にいたのだろう。



自分の友達ばかりを見ているあたしに、きっと良い気持ちはしなかったよね。



それでもあたしがフラれたとき、何も言わずに慰めてくれたよね。



「諦めるの?」って言ってくれたのは、いつもあたしに本当の気持ちに気付かせるため。



あれはこっそりと「諦めるな」って応援してくれている、合図だったのかもしれない。




……全然、エゴなんかじゃない。


真藤君はいつも影で支えてくれていたんだ。



知らず知らずのうちに触れていた優しさを思うと、涙は余計に止まらなくなった。



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