光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「…そ、そんなことでいいの?」
意外な頼みごとに、思考が上手く追い付けなかった。
あたしは別に、真藤君と普通に接することも、友達でいることも構わない。
……だけどそれは、かえって真藤君には辛いことになるんじゃないの?
好きな人と友達でい続ける辛さを想像すると、ぎゅっと胸が痛くなった。
そのことを訴えるように真藤君を見上げると、あたしの反応に戸惑っているみたいだった。
「……俺はさ、麻木みたいに簡単に好きな人の幸せを願えない。
わがままだって分かってるけど、せめて一緒に過ごす時間が欲しいんだ。
気持ちの整理をつけられるまででいいから……」
言葉が徐々に弱々しくなる。
こう言われてしまうと、何も言えない。
だってフッたのはあたしとはいえ、真藤君の立場の気持ちが分からないわけでもないから。
それに「何でもする」って言い出したのはあたしのほうだ。
真藤君がそれを望んでいるなら、さすがに断ることなんて出来ない。
「……いいよ。あたし、これからも真藤君の友達でいる」
数秒考えてからそう言うと、ものすごく驚いた顔をしていた。
もしかすると、断られると思っていたのかもしれない。
だけどすぐに嬉しそうに目を細めていて、本当に想われているんだって、改めて実感した。
それが照れくさくて、あたしもいつしか笑っていた。
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