光を背負う、僕ら。―第2楽章―
轍さえない道
――気付けばもう、11月も終わろうとしている頃。
あたしは本格的に、進路を東條学園に決めた。
お母さんも先生も、もちろんあたしも納得して出した進みたい道。
この道を歩けるのならば、いつか将来戸惑ったり行き詰まったりしても構わない。
戸惑うことさえチャンスに変えてみせる。
絶対に後悔だなんて思わない。
そんな自信が、今のあたしを奮い立たせていた。
「……真藤君、ここはどうやって解くの?」
「そこはまず、こっちの式を解いてから……」
放課後の図書室。
普段は人が少ないここでも、さすがに受験を意識した三年生でほぼ満席になっている。
内申点に含まれる最後のテスト、つまり2学期の期末テストに向けて早めに励む生徒が、主にここに来ているみたいだった。
そんな人達で少し窮屈になっている図書館の隅の席に、あたしと真藤君は向かい合って座っている。
真藤君が早めに来て確保してくれた席は、大きな窓から入り込む日差しが当たって暖かい。
少し眠気に誘われながら、真藤君の丁寧な説明を聞いていた。