光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「これでXの値が分かったら、次はこっちの式に代入して解く。……分かった?」
「うーん、なんとか…」
「もう1回、説明しとく?」
「……お願いします」
苦笑いしながらそう答えると、真藤君は嫌な顔一つせずにもう一度数学の問題を解説してくれた。
さっきよりもより丁寧に一つずつ過程を説明してくれて、とても分かりやすい説明だった。
『ずっと友達でいて欲しい』
真藤君にそう言われた翌日から、あたし達は放課後に一緒に勉強をするようになった。
どっちかって言うと友達より“勉強仲間”みたいな関係に近いのは、あの日のあたしの発言が少しは反映されているからなのかも。
ただ勉強を教えてもらっているのはほとんどあたしで、全然真藤君の役には立っていないのだけれど……。
「どう?分かった?」
「うん!今度はバッチリだよ!」
導き出された解答に満足して頷く。
これで今度のテスト範囲に入る問題が、真藤君のおかげでだいぶ理解出来るようになった。
あたしが解けるようになるといつも真藤君も喜んでくれるから、意外と二人で過ごす時間も嫌いじゃない。
真藤君もこの関係を、割り切って楽しんでくれているみたいだった。