光を背負う、僕ら。―第2楽章―
呆気にとられて荷物を片付け始める真藤君を見ていると、複雑な気持ちが込み上げてきた。
だって送迎を断る理由が、真藤君に悪いからってだけじゃないから。
周りの視線を気にしながら、もう一度小声で言う。
「……やっぱり、一人で帰るよ」
「いいよ。俺が好きで送るんだから。つうか早く帰らねぇと、間に合わないぞ?」
「あっ、うん…」
あたしの断りの言葉も虚しく、真藤君は荷物を持って立ち上がる。
おまけに何故か、あたしのカバンまで持って歩き出してしまった。
なんて強引な…。
あたしはしょうがなくため息をつくと、後を追いかけるようにして図書室を後にした。
……ほんの少しだけ、人の視線を感じながら。
「ねー、あれって……」
「ほんとだー。一緒にいるのって……」
真藤君と並んで昇降口に行くと、固まって喋っている女子軍団に出くわした。
さっき図書室を出るときよりも、鋭い視線が突き刺さる。
彼女達の前を俯きながら通り抜けて自分の下駄箱の前に行くと、裏側からこそこそと話し声が聞こえた。