光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「麻木、行くぞ」
先に靴に履き替えた真藤君が、下駄箱の裏側にいる人達にも聞こえるような大きな声であたしを呼んだ。
するとさすがに、話し声もピタリと止んだ。
ガラス扉の方を見ると真藤君に目だけで急かされたから、慌てて真藤君の後に続いて昇降口を出る。
また女の子達が何かを言いかけているような気がしたけれど、もう大して気にならなくなっていた。
「……真藤君って、動じないタイプだよね」
夕暮れに染まった歩道。
もうすでに太陽の姿はなく、残った光だけが住宅街を照らしている。
さりげなく車道側を歩いてくれている真藤君にそう投げ掛けると、チラリと一度だけ視線を向けられた。
「その……気にならないの?影で何か言われたりとか、注目されること」
「気にならない。気にする必要もないことだし」
「すごいね。あたしはすごく、こういうの苦手だけど……」
目線が二人の並んだ足下を追う。
歩幅の小さいあたしに、真藤君は合わせてくれていた。