光を背負う、僕ら。―第2楽章―
――旧音楽室。
部屋の扉の上にあるプレートにそう書かれていた部屋は、匂いも見た目も埃だらけだった。
木目調の床は古びているのかして、歩くたびにギシギシと音が鳴る。
室内にはこれまた木目調の机が乱雑に積み上げられていて、その周りのスペースには大きな箱やロッカーがいくつも窮屈そうに置かれている。
それらは部屋への侵入を拒むように縦に積まれていて、壁となって二人の目の前に立ちはだかっていた。
「…この部屋、初めて入りました」
「実は私もなの」
「えっ?」
先生はまず入口付近に積まれていた段ボールを退かして、壁を少しずつ小さくしていく。
「この部屋はね、佐奈ちゃんが入学してくる数年前までは音楽室として使われていたみたい。
でも新校舎を建てると同時に新しいピアノを購入することが決まって、新校舎に設備が整った新たな音楽室を作ることが決められた。
そうして作られたのが、今吹奏楽部が使っている音楽室ってわけ」
先生は道を開けるために手を動かしながら続けた。
あたしも先生と一緒に机を運ぶ。
積まれている机を下ろせば埃が舞い、物の隙間から差し込む光が当たってチカチカと光った。