光を背負う、僕ら。―第2楽章―



「真藤君こそ、そろそろ休んだら?ずっと問題ばかり解いてるみたいだし」




ちょっと身を乗り出して真藤君の問題集を覗き込む。



てっきり今日の授業の復習をしているのかと思ったら、違っていた。



やっているのは予習だった。

おまけに早くも、3学期の範囲を予習している。



2学期までの内容は、もうすでに完璧ってことなのかな……。




すらすらとシャーペンを走らせる真藤君の表情には、かなりの余裕さえ感じられる。



どこか真藤君が大人びているように見えるのは、普段からこういう姿になるからかもしれない。



あたしがぐずぐずしている間もまったく手を止めない真藤君は、あたしの何倍もの速度で未来に向かって進んでいる気がした。




「……真藤君って、何か将来の夢ってあるの?」




ふと湧き出てきた疑問。

真藤君が目指している場所はどこなのか。
気になったらすぐに口が動いていた。



シャーペンを再び手にして、真藤君の顔を見る。



真藤君は顎に手を当てて、問題文を見ながら口を開いた。




「あると言えば、一応はある」




悩むことなくすらりと出てきた返答に、興味関心の火がつく。



< 266 / 485 >

この作品をシェア

pagetop