光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「真藤君こそ、そろそろ休んだら?ずっと問題ばかり解いてるみたいだし」
ちょっと身を乗り出して真藤君の問題集を覗き込む。
てっきり今日の授業の復習をしているのかと思ったら、違っていた。
やっているのは予習だった。
おまけに早くも、3学期の範囲を予習している。
2学期までの内容は、もうすでに完璧ってことなのかな……。
すらすらとシャーペンを走らせる真藤君の表情には、かなりの余裕さえ感じられる。
どこか真藤君が大人びているように見えるのは、普段からこういう姿になるからかもしれない。
あたしがぐずぐずしている間もまったく手を止めない真藤君は、あたしの何倍もの速度で未来に向かって進んでいる気がした。
「……真藤君って、何か将来の夢ってあるの?」
ふと湧き出てきた疑問。
真藤君が目指している場所はどこなのか。
気になったらすぐに口が動いていた。
シャーペンを再び手にして、真藤君の顔を見る。
真藤君は顎に手を当てて、問題文を見ながら口を開いた。
「あると言えば、一応はある」
悩むことなくすらりと出てきた返答に、興味関心の火がつく。