光を背負う、僕ら。―第2楽章―



真っ直ぐ目を見ていると、真藤君の目もあたしを見る。



周りの視線や声だって気にならなくなり、まるで目だけで会話をしているみたいだった。



しばらく見つめ合っていると、真藤君の表情から迷いが消えた。



そんなに見つめられたら、断れるわけねーじゃん、と。


真藤君は困ったように照れ笑いをする。


だけど何かを吹っ切れたように、清々しい表情だった。




「いいよ、話す。
でも麻木みたいに立派な夢じゃないから、あんまり期待すんなよ?」




念を押す彼に、笑顔を返した。



……分かってないな、真藤君。



人が抱く夢に立派も何もない。

誰かと比べて優劣を決めるなんて、間違ってるよ。



あたしの夢も、真藤君の夢も。

自分で選んだ夢なのだから、立派に決まってる。



だってそこには誰にも譲れなくて誇れる想いが、たくさん詰まっているのだから。




遠くを見据えて想いを馳せる真藤君の言葉を、あたしはじっくりと聞いた。



< 268 / 485 >

この作品をシェア

pagetop