光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「……いつか、製薬会社とかに勤められたらいいとは思ってる」
いつもはポーカーフェイスな真藤君。
そんな彼が珍しく緊張した表情で言ったそれは、少し早口だった。
……でも、ちゃんと聞こえたよ。
キラキラと輝く、夢のかけら。
「えー、すごい!それって立派な夢だよ!」
自然と感嘆の言葉が漏れた。
わずかに緊張した面持ちのままだけど、微かに真藤君の口角が上がる。
「製薬会社に勤めるってことは……、薬剤師になるってこと?」
「いや、少し違う。俺がやりたいのは薬の研究とか、新薬の開発だ」
「あぁ、なるほど。
でもどうして、薬の研究開発なの?真藤君は賢いし、お医者さんとかにも向いてそうだけど…」
これはあたしのあくまで勝手なイメージだけど、“研究”や“開発”って言葉を聞くと白衣が思い浮かぶ。
そんな白衣を着て研究員になった真藤君の姿を想像したら、どちらかというとお医者さんというイメージのほうが強かった。
ただどちらにしても、白衣姿が似合う気がするけれど。