光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「新校舎が出来てからは古いピアノとこの音楽室は使われなくなって、今は物置小屋みたいになってるんだって」
先生が「よいしょ!」と一番邪魔になっていた掃除用具をしまうためのロッカーを退ける。
すると壁の真ん中に道が出来て奥に進むことが可能となり、部屋をやっと一望することが出来た。
「うわ…」
思わず驚きの声が小さく漏れる。
部屋の入口に荷物が置かれていたせいで狭く感じていたけれど、部屋の奥は予想以上に広かった。
今の音楽室よりは狭いだろうけど、教室よりは広いと感じられる。
もちろん音楽室として使われていただけあって黒板もきちんとあり、さっき積まれていたのと同じ机が列は乱れているけれどまだ並んだままだった。
「………」
ほとんどが、使われていた当時のままだと思われる部屋。
その一番奥の、黒板のとなり。
……そこで漆黒のそれは、自分の存在を今もなお主張していた。
「あれが、佐奈ちゃんに使ってもらうピアノよ」
先生の言葉に、胸が高鳴る。