光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「………」
自分で言うのもあれだけど、確かにピアノの演奏自体は良くなってきたと思う。
お母さんのレッスンを受けるようになって、レベルがぐっと上がった。
……それなのに。
作曲に関しては全然ダメなまま。
いくら技術や知識を身に付けても、この問題は解決出来ない。
どうしてだろう……。
どうして、上手く納得出来る曲を作れないの?
あたしに足りないものがあるとしたら、それは何だって言うの?
未だに楽譜を見て渋い顔をするお母さんに、生唾を飲んでから話しかけた。
「……ねぇ、お母さん。
お母さんってピアニストのとき、自分で曲を作ってたんだよね?」
あたしの記憶が間違っていないならば……確か、お母さんはリサイタルで自作の曲を演奏していたはず。
そうだとしたら、お母さんは作曲のコツを掴んでいるかもしれない。
わざわざ曖昧な記憶を頼りにしたのは、小さな賭けだった。
もしかしてお母さんに頼れば、上手く作曲出来るかも……。