光を背負う、僕ら。―第2楽章―
『自分の中でしか生まれないメロディー』
あたしにしか作れないようなメロディーと言うと、やっぱり今までみたいに感情をありのままに込めて作るしかない。
だけど、本当にそれで良いのかな……。
戸惑いは消えない。
それでも心は、不思議と落ち着いていた。
薄々とだけど、自分にしか作れない曲の存在に気付いているのかもしれない。
あたしは机の本立てから、大学ノートを3冊持ち出した。
そして楽譜をどけて、正面に並べる。
そのノートにはどれも、あたしが今まで作曲すると共に作ってきた詩が書き込まれている。
つまりその数の分だけ、作曲をしてきたということだ。
「いつの間にか、こんなにも作ってたんだね……」
色褪せて使い込まれたノートの表紙を、そっと指先で撫でた。
ノートに書き込まれた詩や曲に込めてきた様々な感情が、徐々に懐かしさを帯びて蘇ってくる。
――あたしは一体、何を悩んでいたのだろう。
あたしが作りたい曲はいつだって、こんなにもそばにあったというのに。