光を背負う、僕ら。―第2楽章―
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近所のスーパーにケチャップを買いに行った帰り道。
ニットのカーディガンを羽織っていたけれど、少し肌寒く感じた。
まだ日は暮れていないけれど、気温はすでに下がり始めているのかもしれない。
秋も終わりそうだな……。
街路樹の葉が落ちて道路の脇に溜まっている様子を見ながら、そんなことを思った。
ケチャップだけが入った小さなエコバッグを軽く揺らしながら、遠くに見える山と空を眺める。
徐々に空がオレンジ色に染まり、山も燃えているみたいに赤く照らされていた。
……オレンジの空を見ると、何故か切なくなった。
脳裏には、オレンジ色に染まった音楽室が浮かんでくる。
伸一と一緒に過ごした、秘密の放課後……。
忘れかけていた記憶が目の前に現れそうになって、慌てて足を止めて目を塞いだ。
……変なの。
この時間帯に真藤君と下校しても、伸一のことなんてちっとも思い出さなかったのに。
一人になると、悲しいぐらいに伸一の存在があたしの中で強くなる。