光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「何か困ったことやピアノに不具合があれば、私は職員室か吹奏楽部の方にいるから呼んでね。
あと練習するのに分からない部分があっても、頼ってもらっても大丈夫だから…。
――練習、頑張ってね!」
でも先生の言葉を聞いたら、何となくその理由が分かったような気がする。
だって先生の最後の一言はとても力強くて、心から応援されているんだって感じられたから。
きっと先生は、すべてをあたしに任せようとしてくれている。
だから、大して干渉をしない。
練習を始めるタイミングも、練習をする環境も。
あたしのペース、あたしの心の準備が整ったときに、自由に出来るようにしてくれている。
だから邪魔にならないように、自分は早々と去ろうとしているのかもしれない。
「先生、何から何までしてもらって本当にありがとうございます!絶対、東條学園に合格してみせますね!」
早くも去ろうとしている先生に向かって、焦りから知らぬ間に堂々と合格宣言をしてしまっていた。
「そう。無理はしない程度に頑張ってね」
不安もよぎったけれど、先生が嬉しそうに笑ってくれたから良かったって思える。
絶対、頑張るんだ。
それが今、あたしに出来る精一杯のことだから。