光を背負う、僕ら。―第2楽章―



……あたしね、ずっと伸一に伝えたかったんだ。



お母さんに、夢のことを許してもらったんだよ、って。

ちゃんと前に進んで頑張ってるよ、って。



伸一が応援してくれていた夢の行く末を、出来れば最初に伝えたかった。



だけどそれさえも言える機会を失ってしまって、困っていたの。



……だけど今、伸一が目の前で「良かった」と笑ってくれている。


あたしもちゃんと、お礼を言うことが出来た。



たとえ直接報告することが出来なかったと言えども、これほど嬉しいことはないよ……。




「麻木、本当に良かったな。おめでとう。
俺、これからも応援してるからな!麻木なら絶対、夢を叶えられるって信じてるから」


「……うんっ!ありがとう!」




伸一が何度も繰り返してくれる言葉はどれも、あたしの宝物になっていく。



たとえ、二人だけの空間がなくなってしまったとしても。


たとえ、あたしの気持ちを知られているとしても。



……伸一は、あたしを応援してくれる。



その唯一変わらない事実が嬉しくて、あたしは何度も「ありがとう」と返した。



< 291 / 485 >

この作品をシェア

pagetop