光を背負う、僕ら。―第2楽章―
……あたしね、ずっと伸一に伝えたかったんだ。
お母さんに、夢のことを許してもらったんだよ、って。
ちゃんと前に進んで頑張ってるよ、って。
伸一が応援してくれていた夢の行く末を、出来れば最初に伝えたかった。
だけどそれさえも言える機会を失ってしまって、困っていたの。
……だけど今、伸一が目の前で「良かった」と笑ってくれている。
あたしもちゃんと、お礼を言うことが出来た。
たとえ直接報告することが出来なかったと言えども、これほど嬉しいことはないよ……。
「麻木、本当に良かったな。おめでとう。
俺、これからも応援してるからな!麻木なら絶対、夢を叶えられるって信じてるから」
「……うんっ!ありがとう!」
伸一が何度も繰り返してくれる言葉はどれも、あたしの宝物になっていく。
たとえ、二人だけの空間がなくなってしまったとしても。
たとえ、あたしの気持ちを知られているとしても。
……伸一は、あたしを応援してくれる。
その唯一変わらない事実が嬉しくて、あたしは何度も「ありがとう」と返した。