光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「麻木も頑張ってるし、俺も頑張らねぇとなー」
サッカーボールを手にとった伸一の表情はとても生き生きしていた。
夢を追いかけている顔。
伸一は立ち上がると、ボールを足先で操り始めた。
足の甲の上で数回跳ね上がったあと膝へ移動して、また足の甲に戻ってくる。
伸一は足の甲の上に器用なバランスでボールを乗せて、得意気に笑っていた。
「うわー!すごいね!」
「こんなの大したことねぇよ。身体が鈍らないようにやってるだけだし」
「へぇー。そうなんだ」
「毎日受験勉強ばっかして引き込もってると、身体に悪いからな。サッカーの感覚忘れないように、たまに公園に来て身体動かしてるんだ。ここはサッカーゴールもあるから、シュート練習もしやすいし」
伸一はリフティングをするボールを見ることなく、公園の奥にあるサッカーゴールを見ていた。
今はその周りに小学校の低学年ぐらいの男の子が群がっていて、転がるボールを取り合うように追いかけている。
もしかするとあの子達も、伸一と同じように目指しているものがあるのかもしれない。