光を背負う、僕ら。―第2楽章―
伸一はそんな不安定な感情で揺れ動くあたしを、あっさりと捕まえる。
「待って、麻木!」
空き缶とエコバッグを持ち上げたところで呼び止められた。
そうなってしまうともう、足なんて石になってしまったみたいに動かなくなる。
子供の笑い声が、やけに響いて聞こえた。
「……もう一つだけ、聞いてもいいか?」
「……何を?」
「達也の、ことなんだけど……」
まさかこのタイミングで真藤君の名前が出てくるとは思わなかったから、焦りがもろに顔に出てしまった。
次に聞かれることが予想出来てしまい、嫌な予感を察知してぞわぞわと鳥肌が立つ。
心の準備も出来ないうちに、伸一は口を開いていた。
「その、付き合ってんの?……達也と」
また、ぞわぞわと。
肌の上を嫌なものが走った。
時刻は夕暮れ。
半分だけ姿を隠した太陽の光で逆光となってしまい、伸一の顔がよく見えない。
……それがとても、怖かった。
伸一は今、どんな表情で聞いてきたの?
声だけじゃ、分からないよ。
伸一の気持ちも意図も、いつだって全然分からないんだよ……。