光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「……麻木?」
「………」
「泣いてるのか……?」
「……っ…」
伸一に顔を覗き込まれて、慌てて身体ごと横向きに逸らした。
その拍子に落下した涙が、あたしが泣いている証拠で。
唇を噛み締めて声を押し殺し、少しでも涙を止めようとするのが限界だった。
空き缶を持っている方の腕のカーディガンの袖口で、慌てて目元を拭う。
だけど視界が滲んでいき、簡単に涙は止まらない。
「……っ」
泣きたくなかった。
伸一の前だけでは、どうしても涙を見せたくなかった。
でも、息が出来ないみたいに苦しくて、もがくように涙が溢れ出す。
……あぁ、どうしよう。
泣けば泣くほど、伸一を困らせちゃうよ。
「――麻木、泣くなよ」
「……っ!?」
……一体、何が起こったのだろう。
消え入りそうな伸一の声がすぐそばで聞こえたらと思ったら、二人の距離が急に縮まって。
温もりに、包まれていた。