光を背負う、僕ら。―第2楽章―
毎日当たり前のように行っていた部活にも、今は後輩達の様子を見ることでしか行くことが出来ない。
たったそれだけのことでも、みんなにとっては寂しいことで。
だからみんな、最近はちょくちょく部活に足を運んだりしている。
「こうやって部活に顔出すのも、あと何回出来るだろうね」
音楽室へと足を進める途中、流歌がぼんやりと前を見据えながら言った。
廊下を吹き抜ける風が、三人の体にぶつかっていく。
「そうだねー。あと何回こうやってみんなと行けるのかな」
そうやって口に出している間にも、その回数は減っていくような気がした。
受験までの日数は、そう多くはない。
だけど、数えることなんて絶対にしない。
数えたら、今ある時間が消えてしまいそうで。
今はただ、この時間がずっと続いていけばいいと思っていた。
「こんにちはー!」
数日ぶりに音楽室に行くと、早くも先輩らしくなってきている二年生が明るく挨拶をしてくれた。
ちょっと控え目な一年生も、あたし達がいた頃よりはしっかりしたように見える。
みんなはみんなで、この短い間に成長しているんだね…。