光を背負う、僕ら。―第2楽章―

渦巻く蜃気楼




「……いってきます」




翌日。

気分が晴れないまま家を出て、学校へ向かった。



昨日はあれからとぼとぼと家に帰って、ずっと伸一の意図を考えていた。



夕食に出た大好きなオムライスの味がよく思い出せないぐらい、思い詰めていたと思う。



だけどあの一連の行動の理由は、全然思い浮かばなかった。




学校に行くの、嫌だなぁ…。


教室に入れば、嫌でも伸一と同じ空間にいることになる。



そう思うと、足取りがだんだん重くなっていった。



別に悩むことなんてなくて、いつもみたいに極力伸一の姿を視界に入れなければいい話なのかもしれない。



だけど今日は、無理な気がする。


知らず知らずのうちに昨日の伸一の表情や温もりを意識してしまい、自然と目で姿を追ってしまいそう。



……揺らぐな、忘れるんだ。



通学路が歩く途中、何度も固く決意したことを自分に言い聞かせた。



一歩、また一歩。


遠くに見えるコンクリートの校舎に近付く度、周りを歩く生徒たちの声が聞こえないぐらい、心臓がせわしなく鳴り響いていた。



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