光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「あっ、佐奈。おはよー」
「明日美、流歌、おはよう」
学校の昇降口で、靴を履き替えている二人と会った。
他愛ない会話をしながら、あたしも上履きに履き替える。
「……なんだか、元気ないね?」
「えっ?」
会話の隙間で流歌がポツリとあたしに向けて呟いた一言に、靴を持った手が止まる。
だけど慌てて靴箱に押し込んだ。
「そうかな?寝不足だからじゃない?」
ははっと笑ってみせるけれど、そうすればするほど流歌の表情が曇っていく。
明日美も心配そうに見ていた。
「何か……あったんじゃないの?」
「っ…!」
……あぁ、もう。
どうして悩んでいる度にいつも、二人は気付いてくれるんだろうね。
あたし、昨日のことは自分だけで解決しようと思ってた。
勝手に決意が揺らいで悩んでいるだけだから、そうするべきだと思った。
だけどあたし……分からないよ。
抱き締めてきた伸一の気持ちも、そのことに悩んでいる自分の気持ちさえも。
だから、最上級の優しさに、甘えても良いかな……?