光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「実は、昨日……」
「――佐奈ちゃん」
意を決して口にした言葉。
でもそれは、誰かに呼ばれたあたしの名前にかぶって消えた。
目の前の二人があたしの背後に注目していることに気付いて振り向く。
そこには同じ吹奏楽だったメンバーで、小春ちゃんがいつも一緒に行動している子達が3人いた。
さりげなく小春ちゃんの姿を探したけれど不在で、内心ホッとする。
だけど目の前にいる3人が纏う空気が何やら不気味で、少し気を引き締めて身構えた。
「佐奈ちゃん、ちょっと一緒に来てくれる?」
3人の中で明らか中心人物であると思われ、そして真ん中に立っていた子が、挨拶を省いて単刀直入にそう言った。
わざとらしく明るい声が、貼り付けたような笑顔が、とてつもなく心地悪い。
両脇で少し後ろに立ちながら「すぐ終わるから」、「時間あるでしょ」と言っている二人も、全く同じ笑顔の仮面をつけていた。
なんだっけ。
ドラマなんかでよく見るこういうシーン。
……呼び出し?
こんな状況でも、呑気にそんなことを考えている自分に驚いた。
突然のことに頭がついていけてなくて、蚊帳の外にいる気分なのかもしれない。