光を背負う、僕ら。―第2楽章―



……さて、どうしようか。



言われた通りにするべきなのかと考えていると、ブレザーの袖を後ろから小さく引かれた。




「ちょっと佐奈、これ……なんかやばくない?」




明日美が警戒するような瞳を3人に向けたまま、耳元でそう囁いてきた。


流歌の顔には不安が渦巻いている。



二人とも明らかに「行かないほうがいい」と、危険信号を発していた。



だけどあたしは、知っててそれを見なかったことにする。




「……大丈夫だよ。きっと、大したことない用事だって」




袖を掴んでいる明日美の手から、するりと抜け出した。



そして、強い意思で3人と向き合う。




「どこに行けばいいの?」




……3人が、冷ややかな笑みを浮かべた気がした。






3人に連れて来られたのは、校舎の裏側だった。



ただでさえ人気がない場所だけど、まだ朝の登校時間というせいか余計に静まり返っている。



学校の裏手にある山の奥から、鳥のさえずりが響いて聞こえた。



生徒の声も遠くに感じられて、まるでここだけ切り取られた空間みたい。



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