光を背負う、僕ら。―第2楽章―



「まず最初に聞きたいんだけど、佐奈ちゃんと真藤君ってどんな関係なの?」




単刀直入に口を開いたのは、右端に立つ田中さん。

トランペットのパートリーダーだったっけ。




「どんな関係って……ただの友達だけど」


「友達?付き合ってるんじゃないの?」


「違うよ。本当にただの友達」


「ふーん…」




信じているのか。信じていないのか。

曖昧な態度で田中さんは頷いていた。



……ところで、どうしてそんなことを確かめたの?


絶対それ、本題じゃないのに。



疑問が小さな不満になって顔をしかめていると、次は左端の山口さんが口を開いた。


確か小春ちゃんと同じ、クラリネットを吹いていたはず。




「佐奈ちゃんさー、どうしてここに連れて来られたか分かってる?」


「………」




知るはずもない。

知ってたら最初から、やすやすとついてくるはずかない。

……いや、知らなくても普通はついてこないか。



それでもついてきたのは、3人がかつての部活仲間だったからだ。


きっとただの野暮用で呼び出されたに違いない……。



そう信じたし、信じていたかった。


だけど目の前の3人から放たれる険悪なムードが肌に刺さると、嫌な予感だけが胸の内をかすめていった。



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