光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「ねぇ、何か言ったらどうなの?」
どう返せばいいのかと考えているうちに、再び岡田さんが口を開いた。
岡田さんの口振りはあたしを責めているようにも聞こえたし、困惑している姿を楽しんでいるようにも見えた。
両端に立つ二人は、何も言い返せないあたしを冷ややかな瞳で見つめている。
あたしは落ち着けと自分に命令をして、必死に最良の返事を考えた。
……あたしと伸一は、本当に偶然会っただけ。
ましてや“抱き合っていた”のではなくて、あたしが一方的に“抱き締められた”というのが真実。
それを正直に話せばいい。
そうすれば変な誤解は解けるはず。
だけど話したところで、信じてもらえるのかな……。
明らかに戦闘モードに入っている3人を見ていると、そんな保証はないような気がして絶望した。
ましてや一方的に抱き締められたことを話せば、余計に話がややこしくなりそう。
伸一が抱き締めてきた理由なんて聞かれてしまえば、それこそ困る。
昨日からずっと考えていたって、未だに謎のままなのだから。
むしろあたしが理由を知りたい。
……となると、あたしは結局、何て返事をすればいいの?
頭の中は完全に靄がかかった状況で、答えなんて導き出せるはずがなかった。