光を背負う、僕ら。―第2楽章―
はぐらかすことも誤魔化すことも、ましてや本当のことさえ言えないなんて。
これほど最悪なことはないよ……。
黙秘を続けるあたしに苛ついた様子で、岡田さんが舌打ちをした。
「あんたが、佐藤君のことをたぶらかしたんでしょう?
大人しいフリして、一体どんな手を使ったわけ?」
「ちっ…違う!あたしそんなことしてないよ!」
「でも抱き合ってたじゃん!人の彼氏に手出しといて、よくそんなこと言えるね!」
違う。そうじゃない。
岡田さん達は大きな勘違いをしてる。
そう訴えたいのに、さっきの一言を否定されてしまったせいか、余計に信じてもらえないように思えた。
感情が沸騰してしまっている彼女達に弁解することは、完全に火に油を注ぐようなものだった。
「サイテー!」だとか「ありえない!」と繰り返し呟く3人のボルテージは、まさに最高潮。
バロメーターなんて、あっけなく破壊されてしまいそう。
「さっき真藤君のことは友達とか言ってたけど、本当は真藤君のことも誘惑しようとしてるんじゃないの?」
「うわー、ありえない!」
「何様~」
しまいにはあり得もしない事実を勝手に作り出して、はははっと馬鹿にした笑いを響かせていた。
最初に確かめてきたことなんて、これっぽっちも意味をなしてない。