光を背負う、僕ら。―第2楽章―
対抗して口を開こうとした。
だけど岡田さんの方が再び先に口を開く。
「あんたがっ…!!あんたが佐藤君を誘惑するせいで、小春がどれだけ傷付いたと思ってんの!?」
「……っ!!」
血走った目で、声を振るわせながら岡田さんが言ったことが、ズシンッと胸の中に重くのし掛かった。
脳裏には、伸一を追いかけて旧音楽室に来た小春ちゃんの、不安げな表情が切ないほどに強く焼き付く。
あの日の小春ちゃんは、伸一が浮気をしているんじゃないかって心配していた。
その時に、小春ちゃんが寂しげな表情をしていたのは少なからずあたしのせいでもあるって気付いたんだっけ。
そんなことがあったせいか、岡田さんの言葉はやけに現実味を帯びて聞こえた。
……でも、待って。
どうしてここで、小春ちゃんが傷付いたって話が出てくるの?
……もしかして小春ちゃんも、昨日の出来事のことを岡田さんから聞いたの?
それだったら、傷付いたっていう話は納得がいく。
でもそれって最悪のパターンで、自分でも表情が青ざめるのが分かった。