光を背負う、僕ら。―第2楽章―



……放課後、か。



目が自然と、頬杖をついて先生の話を聞いている真藤君の背中を追ってしまう。



自分でも余計な単語を思い出したな、と思った。



おまけに真藤君の背中を見ていたらその奥に伸一の背中も見えてしまい、自分で自分の首を絞めている感覚がした。



……信じられないよ。

伸一と小春ちゃんが別れたなんて。



伸一は先生の目を盗みながら、隣の席の男子と喋っていた。



小さく零れる笑み。

どんな思いで伸一が笑っているかなんて、あたしには分からない。




「今日の欠席者は……戸沢だけだな」




ホームルームの最中、先生が放った一言に、数人が微かに動揺した。



岡田さん、山口さん、田中さん。

真藤君とあたし。

それから、伸一。



二人が別れたことを知っているメンバーの顔から、一瞬だけ笑顔が消える。



伸一の様子が気になって表情を窺うけれど、すぐに友達と一瞬になってまた笑っていた。



また、真意が分からなかった。




――『麻木が思ってるより、伸一はおまえのことが気になってる』




真藤君はそう言っていたけれど、そんなわけないよね……。



だってあの言い方だと、伸一があたしに好意があるみたいだもん。



フラれてるのに、そんなわけないよ……。



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