光を背負う、僕ら。―第2楽章―



「それにしても、あれだね。佐藤君、いつもと様子変わらないね」




流歌がコソッと呟いた言葉に、頷きながら視線を動かす。



休み時間になってから、伸一の様子はいつもと変わらないように思えた。



小春ちゃんの欠席が伝えられたときはさすがに動揺していたみたいだけど、それ以降目立った変化は見つからない。



伸一の友達も二人が別れたことを知らないのか、伸一に対する態度も特に変わったところはなかった。




「佐藤君あんな様子だけど、あの二人って本当に別れたの?」


「多分、そうなんだと思う。信じられないけど……」




怪訝な顔で尋ねる明日美に、あたしも首を傾げて答えた。



二人もいまいち状況をのみ込めていないみたいで、腑に落ちないと言いたげな顔をしている。



だけど切り替えが早い明日美は、ちょっと考え込んでから「でもさ、」と口を開いた。




「……でもさ、別れたことが事実なら、佐奈にはチャンスだよね?」




言葉が、ズシリとのし掛かった。



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