光を背負う、僕ら。―第2楽章―



「チャンス、なのかな……」


「チャンスだよ。佐藤君がフリーになって、今なら真藤君も離れてる。これほど絶好のチャンスはないよ」


「それは、そうかもだけど」


「佐藤君のこと好きなんでしょう?だったらここは、もう一度頑張ってみなよ。
卒業してからの進路が違ったら、今みたいに会うことさえままならないかもしれないでしょ?そうなったら佐奈、今度こそ本当に未練を残したまま諦めちゃうんじゃないの?」




明日美の言葉は的確だった。

だからこそ、背中を押される。


……でも、今のままでは罪悪感は消えないままなんだ。




「うん、明日美の言う通りだね。あたし、もう少し頑張ってみる。
……だけどその前に、小春ちゃんと話してみるね」


「小春ちゃんと?」


「うん。多分小春ちゃんも昨日の公園のことを誤解している気がするから、ちゃんとそのことを話しておきたいの。
別れた理由と関係あるかは分からないけど、余計なことで小春ちゃんを悲しませちゃったのは事実だから……」




そう言うと二人は声を揃えて「佐奈らしい」と言った。



そんな姿に思わず気が抜けて笑う。

すると不思議と、頑張れる気がした。



……大丈夫。

あたしはまだ、頑張れるはず。



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