光を背負う、僕ら。―第2楽章―
教室の後方には、小春ちゃんを取り囲む女子の輪が出来ている。
あたしはそこから聞こえてくる会話をしばらくの間複雑な気持ちで聞いていたけど、ふと教室の前方に意識を向けた。
そこには伸一を取り囲んでいる男子の輪がある。
「佐藤、お前ら何で別れたんだ?」
「そんなのお前には言わねぇよ」
伸一も小春ちゃんと同じで、今日は友達やクラスメートから質問攻めをされていた。
だけど伸一は不機嫌そうに対応していて、男子はつまらなさそうにしている。
おまけに伸一も小春ちゃんも別れた理由等の詳しいことは揃って黙っていたから、みんな腑に落ちない感じ。
だけど二人の問題だから、さすがに興味があってもそこまで深く追求出来ないのが現状だった。
机に頬杖をついて、じっと女子の輪を見つめる。
なんとか小春ちゃんと接触出来ないかな……。
出来れば早いうちに誤解を解いておきたい。
でも常にみんなに囲まれている小春ちゃんに接触するのは、なかなかの至難の業だ。
きっと時間が経てばほとぼりも冷めるのだろうけど、今日1日はこの話題が消える気配がない。
……っていうことは、今日は小春ちゃんと話すのは無理なのかな……。