光を背負う、僕ら。―第2楽章―
「おー、二人ともお疲れ様!」
職員会議を終えた先生が姿を現したのは、伸一と打ち解けてから30分後のことだった。
わだかまりがなくなってすっかり話しやすくなっていたあたし達はあれから順調に作業を進めていた。
……とは言え、アルバムに使用する写真を選ぶ作業が残ってしまっている。
つまり、作業時間のほとんどが仕分け作業で終わってしまったということだ。
途中で完全に手を止めていたことは事実だから、終わっていない作業に呆れ顔をする先生に二人揃って苦笑いを返した。
「お前らなー、そこは息ぴったりにならなくていいだろ」
あたし達の顔を交互に見て先生が笑う。
確かに伸一のしゅんとしつつ苦笑する表情は、まさに今の自分の感情と一致していた。
どうやら伸一も同じらしくて、今度は顔を見合わせて同時に吹き出してしまった。
「まあ別に、今日中に終わらなくてもいいんだ。今週中に終わってくれたら」
「何だよ先生、それ先に言ってくれよ!俺らめちゃくちゃ頑張ったのにー」
ぶつぶつ文句をぶつける伸一に対して、先生は笑って受け流して誤魔化している。
何だか先生もあたし達も、どっちもどっちって感じだ。
「……というわけで、終わらなかった作業は明日以降も頼むよ。よろしくな?」
「「えっ」」
困惑したあたしと伸一の声が見事に重なった。
何から何まで自由奔放な先生の発言に、あたし達は振り回される運命なのかもしれない。
だけどある意味、すごくラッキーな運命だ。
だって明日も、伸一と一緒に過ごす時間の理由が出来たのだから。
そのことに気付くと、ついつい頬が緩んでしまう。
伸一も同じことに気付いたのだろう。
先生に文句を言う言葉が弱々しい。
「よろしくな、二人とも」
またもや強制的に仕事を頼み込んでくる先生に、二人とも渋々了解の返事をした。
心の中では、少しだけ感謝をしながらね。
先生の目を盗んで絡み合う二人の視線。
照れた顔がそっくりで、こっそりと笑い合っていた。
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